長期保有している株式があり、貸株サービスの利用を検討している方の中には「貸株金利が高いのには、何か理由があるのでは?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
今回は、貸株金利が高い理由や貸株サービスを利用するリスクを解説した後、貸株金利の高い銘柄について紹介します。
貸株サービスの利用を検討している方、貸株金利の仕組みについて知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
貸株とは?
貸株とは、投資家が保有する株式を一時的に証券会社に貸し出すサービスのことです。
貸し手側は貸し出す株に応じた利息を得られ、証券会社側は借り入れた株式を他の投資家へ貸し出すことで利益を得ています。
具体的な利率は銘柄や日によって異なりますが、証券会社によっては高い利率が設定されるケースもあります。
貸株金利が高い理由は「空売り需要が多いから」
貸株金利が上昇する理由は、空売りを望む投資家が急増するためです。
空売りを行うためには証券会社から株を借りる必要があり、これには貸株料が発生します。特に空売りが多い銘柄では、株の供給が需要を満たせないため、投資家に高い貸株料が提示されやすくなります。
例えば、10%の貸株金利がある銘柄では、借り手はそれ以上の金利を支払うことになります。このような状況下においては、株の供給が需要に追いつかず、貸株金利が上昇するのが一般的です。
このように、貸株金利が高いことは、その株に対する現物株が不足していることを意味します。
貸株はやめたほうがいい?3つのリスクを確認
「貸株サービスの利用はやめたほうがいい」と言う投資家も一定数存在するようですが、これには以下3つのリスクが関係しています。
- 投資家保護基金による保証は対象外
- 金利を超える損失が出る恐れ
- 確定申告が必要
貸株におけるリスクについて、各項目を確認しましょう。
投資家保護基金による保証は対象外
貸株サービスを利用する1つ目のリスクとして、投資家保護基金による保証は対象外であることが挙げられます。
通常、投資家保護基金は証券会社の倒産時に最大1,000万円まで資産を保護しますが、貸株の場合は保護の対象外となるため、注意しなければなりません。対象外となる理由は、貸し出した株式の名義は証券会社に移り、顧客名義ではなくなるからです。
そのため、万が一証券会社が倒産した場合、貸株に出していた株式は投資家保護基金の対象外となり、その資産は失われる可能性があります。貸株サービスの利用を検討する際は、投資家保護基金による保証を受けられないリスクを理解し、適切な対策を講じることが欠かせません。
金利を超える損失が出る恐れ
貸株サービスを利用する2つ目のリスクは、金利を超える損失が出る恐れがあることです。
貸株金利が高い場合、多くの投資家が株を借りて信用取引を行いますが、これが株価の下落要因となります。貸株金利が高い銘柄を保有すると、株価の急落により受け取る金利を上回る含み損が発生する可能性があります。
貸株金利を目的に株式を購入する際は、銘柄に関するリスクが低いかどうか、業績動向に問題がないかなどについて、注意深く確認することが大切です。金利以上の損失を防ぐために、市場の動向や銘柄の特性を十分に理解し、適切な投資判断を行いましょう。
確定申告が必要
貸株サービスを利用する3つ目のリスクには、確定申告が必要であることが挙げられます。
貸株サービスを利用した場合、貸し手が受け取るのは配当金の代わりとなる配当金相当額です。これは雑所得として確定申告が必要になるため、あらかじめ把握しておきましょう。
しかし、配当金相当額をそのまま確定申告した場合、配当所得控除が受けられず、株式の譲渡損も通算できません。このような税制上の不利を避けるためには、株式を貸し出す企業の権利確定日に合わせて、証券会社から株式を返してもらう手続きが必要です。
これにより、配当金相当額ではなく配当金として申告し、税制上のメリットを享受できます。
貸株金利の高い銘柄一覧
ここでは、2023年12月時点で貸株金利の高い以下の銘柄を紹介します。
- バンク・オブ・イノベーション
- pluszero
- ニューラルグループ
- エッジテクノロジー
- マイクロ波化学
証券会社別の貸株金利や、各銘柄を発行する企業の概要などを確認しましょう。
バンク・オブ・イノベーション
バンク・オブ・イノベーションは、スマートフォンアプリの開発を行う会社で、代表的な証券会社の貸株金利は以下の通りです。
- 楽天証券:10.00%
- SBI証券:10.00%
- 松井証券:5.00%
- マネックス証券:公式サイトの記載なし
- GMOクリック証券:8.00%
バンク・オブ・イノベーショングループはGoogleやAppleなどのプラットフォームを活用し、2Dグラフィックに特化したゲームアプリを提供しています。
独自の開発体制により、グラフィック制作とゲームシステム開発に多段階のチェックを導入しました。主力はオリジナルタイトルの開発・運営で、プロモーションと連携した自社IPの確立と収益の多角化を追求しています。
pluszero
pluszeroはテクノロジーを活用したソリューション提供事業を展開する会社で、代表的な証券会社の貸株金利は以下の通りです。
- 楽天証券:10.00%
- SBI証券:10.00%
- 松井証券:5.00%
- マネックス証券:1.00%
- GMOクリック証券:15.00%
pluszeroは、プロジェクト型とサービス型の2つの事業に取り組んでいます。
プロジェクト型では、経営問題解決や課題達成の相談からサービス・システムの設計・開発・保守運用までワンストップで提供しています。
一方、サービス型では提供されるのは、柔軟な人工知能(AEI)を用いた「仮想人材派遣」技術に関する情報提供や、開発・利用ライセンスの供与などです。
ニューラルグループ
ニューラルグループは人工知能のエンジニアリングを行う会社で、代表的な証券会社の貸株金利は以下の通りです。
- 楽天証券:8.75%
- SBI証券:8.75%
- 松井証券:1.00%
- マネックス証券:公式サイトの記載なし
- GMOクリック証券:8.00%
ニューラルグループでは、デジソリューションとライフスタイルの2つのサービスドメインで事業を展開しています。
デジソリューションでは、AIカメラを活用した「デジパーク」や車番検知の「デジスルー」、人流解析の「デジフロー」、在宅勤務支援ツールの「リモデスク」などが提供されています。
一方、ライフスタイルで提供されているのは、アパレル向けのトレンド解析「AIMD」やAIシステムソリューションなどです。
エッジテクノロジー
エッジテクノロジーは人工知能のアルゴリズム開発を行う会社で、代表的な証券会社の貸株金利は以下の通りです。
- 楽天証券:8.50%
- SBI証券:8.50%
- 松井証券:1.00%
- マネックス証券:公式サイトの記載なし
- GMOクリック証券:6.00%
エッジテクノロジーはAIアルゴリズム事業に注力しており、主な事業内容はAIソリューションサービス、AI教育サービス、AIプロダクトの開発・販売などです。
既存のシステムにAIアルゴリズムを組み込んだ運用や個人向け教育講座・法人研修・有料職のほか、AIを搭載した製品の販売を行っています。
マイクロ波化学
マイクロ波化学はマイクロ波化学に関する事業を行う会社で、代表的な証券会社の貸株金利は以下の通りです。
- 楽天証券:8.25%
- SBI証券:8.25%
- 松井証券:2.00%
- マネックス証券:公式サイトの記載なし
- GMOクリック証券:10.00%
マイクロ波化学では、マイクロ波化学プロセスの研究開発とエンジニアリングを専門とし、顧客の課題に応じて研究開発から製造支援までをワンストップで提供しています。
包括的なソリューションを提供し、マイクロ波化学プロセスを応用した製品の製造・販売も行っています。
貸株金利に関するよくある質問
ここでは、貸株金利についてよくある質問をまとめました。貸株サービスの利用を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
貸株金利が下がるとどうなる?
貸株金利が下がると、貸し手が得られる収益が少なくなり、投資家にとって貸株サービスを利用するメリットが半減します。
需要が低く供給が余剰な場合や、市場の不確実性が低いときに、貸株金利が下がる傾向にあります。
貸株金利が下がる理由は?
貸株金利が下がる理由は、株式銘柄の需要が低い・供給が余剰である・市場の不確実性が低いなどが挙げられます。
株式の需要が低いと貸し手が株式を提供する意欲も下がるため、この場合は金利競争が激しくなりやすいでしょう。
貸株金利が下がった場合、貸し手はリスク管理を徹底し、適切な株式の選定やポートフォリオの最適化を検討して市場状況の変化に柔軟に対応する必要があります。
貸株金利が高いとどうなる?
貸株金利が高いと、貸し手が得られる収益が増加する傾向にあります。
高い貸株金利になるのは、空売りの需要が高まり供給が追いつかないためであり、貸し手にとって有利な状況が生まれることになります。
SBIの貸株金利をランキング形式で知りたい!
2023年12月時点におけるSBIの貸株金利について、上位10銘柄をまとめました。
- バンク・オブ・イノベーション:10.00%
- pluszero:10.00%
- 湖北工業:9.00%
- ニューラグループ:8.75%
- エッジテクノロジー:8.50%
- マイクロ波化学:8.25%
- トリプルアイズ:8.00%
- FIXER:8.00%
- エネチェンジ:7.25%
- タカトリ:7.25%
貸株金利が高くなる理由まとめ
今回は、貸株の概要や貸株金利が高くなる理由、貸株サービスを利用するリスクなどを解説しました。
貸株サービスを利用するとそれに応じた利息を得られる反面、投資家保護基金の保証が対象外になる、金利を超える損失が出る可能性がある、確定申告が必要などのリスクもあるため、総合的に利用すべきかを判断しましょう。
貸株金利の高い銘柄も紹介しましたので、貸株サービスを利用する際の参考にしてみてください。