「iDeCoに加入しようか迷っているが、途中解約できないって本当?」「もし途中解約する場合はどうしたらよいの?」と疑問に思っている方は多いのではないでしょうか。
本記事では、iDeCoにおける途中解約の制度について、解約可能な条件や継続的な拠出が難しくなった場合の対処法などを解説します。
iDeCoの途中解約に関する制度を理解し、効果のある資産形成を行いたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
iDeCoは原則として途中解約ができない
iDeCo(個人型確定拠出年金)を利用している方の中には、毎月の掛け金の支払いが厳しくなったり、将来の計画が変わったりした場合に、途中解約したいと考える方は少なくありません。
しかし、iDeCoは原則として60歳までの解約はできず、以下の加入期間に応じた受け取り可能年齢に達するまでは掛け金を拠出し続けるのが基本です。
iDeCoの通算加入期間 | 受け取り可能な年齢 |
10年以上 | 60歳〜 |
8年~10年未満 | 61歳~ |
6年~8年未満 | 62歳~ |
4年~6年未満 | 63歳~ |
2年~4年未満 | 64歳~ |
1か月~2年未満 | 65歳~ |
なお、iDeCoの運用は75歳まで、積み立ては65歳まで行えるため、「60歳を超えても積み立てを継続する」といった選択も可能です。
解約についての例外はあるものの、通常は受け取り可能な年齢に達するまで継続して拠出しなければなりません。これはiDeCoが老後の資産形成を目的としているための制度であり、利用する上で理解しておく必要があります。
iDeCoを継続するメリット・デメリット
「iDeCoは原則として途中解約ができない」とお伝えしましたが、継続して掛け金を拠出し続けることには、どのようなメリットがあるのでしょうか。
ここでは、デメリットと合わせて解説します。
iDeCoを継続するメリット
iDeCoに継続加入するメリットとして、以下の3点が挙げられます。
- 掛け金はすべて所得控除の対象になる
- 運用益は非課税で再投資に回せる
- 受け取り時に公的年金等控除を受けられる
まず、iDeCoへの掛け金はすべて所得控除の対象となります。つまり、支払った金額分は所得税や住民税を算出する際に差し引かれ、納税額が軽減されます。
また、iDeCoの運用益は非課税であり、利益を出した場合でも税金がかかりません。そのため、再投資に回すことで元本を増やしやすく、長期的な資産形成に適しているといえるでしょう。
そして、掛け金の受け取り時には公的年金等の受給額に応じた控除が適用されます。これにより、iDeCoからの受給額が増え、税金の負担が軽減される効果があります。
iDeCoを継続するデメリット
反対に、iDeCoに継続加入するデメリットとしては、以下のような要素があります。
- 投資信託の商品は元本割れのリスクがある
- 口座管理など運用以外の手数料が発生する
iDeCoのデメリットの一つは、投資信託の商品には元本割れのリスクがあることです。市場変動により運用資産の価値が減少し、元本を割る可能性があるため、予想外の損失を被るリスクを十分に理解しておかなければなりません。
もう一つのデメリットは、口座管理などの運用以外の手数料が発生することです。多くの場合、口座維持手数料や維持費などがかかるため、積立額が少ないとランニングコストが利益を圧迫してしまう可能性があります。
iDeCoで途中解約が可能となる3つの例外ケース
上述にもあるように、iDeCoは原則として途中解約できません。ただし、以下のいずれかのケースに該当する場合、iDeCoで途中契約が可能です。
- 加入者が死亡した場合
- 加入者が高度障がい者になった場合
- 加入者が特定の条件を満たした場合
それぞれのケースについて、詳しく解説します。
iDeCoで途中解約できるケース①加入者が死亡した場合
iDeCoで途中解約が可能なケースの1つ目は、iDeCoに加入している本人が死亡した場合です。この場合、遺族はiDeCoで積み立てた資金を「死亡一時金」として受け取れます。
しかし、この受け取りは自動的に行われるわけではなく、遺族がiDeCoの運営管理機関に直接請求手続きを行わなければなりません。なお、死亡一時金は年金形式で受け取ることはできず、現金一括での受け取りとなります。
また、投資信託で運用していた場合も同様に、資産が現金化された状態で受け取ります。
iDeCoで途中解約できるケース②加入者が高度障がい者になった場合
iDeCoで途中解約が可能なケースの2つ目に、加入者が高度障がい者になった場合があります。これは、iDeCoの加入者が70歳未満で一定以上の障害状態になり、なおかつ障害状態が1年6か月以上続いた場合が対象です。
以下いずれかの状態に該当すると、積み立てた資金を障害給付金として受け取れます。
- 障害基礎年金の受給者(1級および2級)
- 身体障害者手帳(1~3級)の所持者
- 療育手帳(重度、最重度)の所持者
- 精神障害者保健福祉手帳(1級および2級)の所持者
iDeCoの加入者がこれらの高度障害を負った場合は、60歳未満でも解約が可能です。
iDeCoで途中解約できるケース③加入者が特定の条件を満たした場合
iDeCoで途中解約が可能なケースの3つ目として、加入者が特定の条件を満たした場合があります。以下6つの条件に全て該当する場合、iDeCoで積み立てた資金を脱退一時金として受け取れます。
- 60歳未満で企業型DCに加入していない
- 障がい給付金の受給者ではない
- 企業型DCから脱退一時金を受給していない
- 国民年金保険料の免除者である
- iDeCoもしくは企業型DCの加入資格喪失から2年以内である
- 掛金の拠出期間が1ヶ月以上以上3年以下もしくは個人別管理資産が25万円以下
規定上はこれらの条件に該当すれば途中解約できますが、実際に全ての条件を満たすことは難しく、基本的には途中解約が難しいと考えられます。
もし脱退一時金を受け取る場合、以下の3パターンから受け取り方法を選択可能です。
- 一時金として一括で受け取る
- 年金として受け取る
- 上記の両方を組み合わせて受け取る
iDeCoに加入中、途中で払えなくなったらどうする?
ここまで読んだ方の中には、「iDeCoは解約できないとはいえ、加入中に掛け金を払えなくなったらどうするの?」「家計が厳しい状態でも必ず掛け金を拠出しないといけないの?」と疑問に思う方もいるでしょう。
iDeCoに加入途中に掛け金の支払いが難しくなった場合、以下の対処法があります。
- 掛け金の減額手続きを行う
- 拠出停止の手続きを行う
それぞれの対処法について解説します。
対処法①掛け金の減額手続きを行う
iDeCoで毎月の掛け金の支払いが困難になった場合は、掛け金の減額手続きをすることで毎月の支払額を減らせます。
この手続きは比較的簡単で、iDeCoを契約している金融機関から提供される「加入者掛金額変更届」を入手し、必要事項を記入して提出するだけです。ただし、掛け金の最低金額は月5,000円で、変更は1年に1回までとなります。金融機関によって手続きに時間がかかることもあるため、減額する予定の場合はできるだけ早めに手続きを済ませておくと安心です。
iDeCoは継続することで将来の資産形成につながる制度のため、掛け金を減額することで支払いやすくなるのであれば、拠出停止よりも減額を選ぶべきといえます。
対処法②拠出停止の手続きを行う
どうしてもiDeCoへの支払いが困難な場合や一時的に拠出を停止したい場合、加入者資格喪失届を提出することで拠出停止の手続きを行えます。
停止後は運用のみ継続できますが、口座管理料として毎月66円の手数料が必要です。
また、拠出を停止すると所得控除が受けられなくなるほか、再開時には加入手続きが必要であり、減額と比べて手間がかかるため注意しましょう。所得控除を受けられなくなることで税制的なメリットも失われるため、慎重な判断が欠かせません。
iDeCoを始める時におすすめの証券会社
iDeCoを始める時におすすめの証券会社を紹介します。
SBI証券
SBI証券は、iDeCo口座開設数1位の証券会社です。
セレクトプランでは、「eMAXIS Slim」シリーズを含むインデックスファンドを17本に投資することができます。
マネックス証券
マネックス証券は、オリコン顧客満足度®ランキング「iDeCo証券会社」部門で4年連続総合第1位を獲得しています。
「NASDAQ100指数」に連動するiDeCo商品を買うことができるのはマネックス証券だけなので、「米国ナスダック100指数」に連動する商品を買いたいならマネックス証券で口座開設を行いましょう。
松井証券
松井証券は、老舗のネット証券です。
「eMAXIS Slim」と「楽天バンガード」シリーズの取り扱いがあるので、SBI証券と楽天証券のいいところ取りをした投資を行いたい人におすすめです。
iDeCoに関するよくある質問
ここでは、iDeCoに関してよくある質問をまとめました。iDeCoへの加入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
途中解約できないからiDeCoはやめたほうがいいって本当?
iDeCoは原則として途中で解約できませんが、長期的な視野で積み立てを続けることで、節税効果や老後資金の形成につながります。
無理をしてまで積み立て金を拠出する必要はありませんが、余裕があれば資産形成の手段の一つとして活用すると良いでしょう。
確定拠出年金で脱退一時金(解約返戻金)を受け取る裏ワザがあるって本当?
iDeCoは原則として途中解約できませんが、以下のいずれかに該当する場合は途中解約が可能となり、解約一時金を受け取れます。
- 加入者が死亡した場合
- 加入者が高度障がい者になった場合
- 加入者が特定の条件を満たした場合
最後の「加入者が特定の条件を満たした場合」について、条件は以下の通りです。
- 60歳未満で企業型DCに加入していない
- 障がい給付金の受給者ではない
- 企業型DCから脱退一時金を受給していない
- 国民年金保険料の免除者である
- iDeCoもしくは企業型DCの加入資格喪失から2年以内である
- 掛金の拠出期間が1ヶ月以上以上3年以下もしくは個人別管理資産が25万円以下
iDeCoに加入しており、途中で死んだらどうなる?
iDeCoの加入者が途中で死亡した場合、投資信託の資産は売却して現金化され、全額を死亡一時金として遺族に支払われます。
なお、支給は自動的に行われるわけではないため、遺族が運用資産の請求手続きを行う必要があります。
退職した場合、iDeCoは途中解約になる?
原則として、iDeCoの途中解約はできません。
なお、転職や退職をした場合でも、同じ金融機関でiDeCoに継続加入することは可能です。もしくは、一度資産を売却して現金化し、新たな金融機関に資産を引き継いで運用する方法があります。
iDeCoで途中解約する方法や条件まとめ
今回は、iDeCoで途中解約する方法や条件などについて解説しました。iDeCoは原則として途中解約ができず、60歳になるまで積み立て金を受け取れない仕組みです。
ただし、例外として解約一時金を受け取れるケースもあるため、iDeCoの制度についてよく確認した上で利用することが欠かせません。
本記事の内容を参考に、将来的な資産を形成する手段の一つとして、iDeCoを検討してはいかがでしょうか。