米国債券は、アメリカ合衆国政府が資金調達のために発行する債券です。
安全性が高いため「リスクフリー」と言われますが、「米国債券は買ってはいけない」という意見もあります。
本記事では、米国債券の基礎知識から、米国債券を買ってはいけないと言われる理由、米国債券のメリット、米国債券を買うおすすめのタイミング、米国債券のおすすめの買い方について解説します。
米国債券とは?
米国債券は、アメリカ合衆国政府が資金調達のために発行する債券です。
アメリカ合衆国政府が発行する債券は、信用力が高く、流動性も高いとされています。
償還期間が1年以内の割引債をトレジャリービル(T-Bills)、2・3・5・7・10年物の利付債をトレジャリーノート(T-Notes)、償還期間が10年を超える利付債をトレジャリーボンド(T-Bonds)と呼ばれています。
米国債券は、安全性が高いため「リスクフリー」と言われ、リスク分散やインフレ対策として投資している人が多いです。
米国債券の種類
米国債券の種類について解説します。
- トレジャリービル (Treasury Bills)
- トレジャリーノート (Treasury Notes)
- トレジャリーボンド (Treasury Bonds)
- インフレ調整証券 (TIPS)
- フローティングレートノート (Floating Rate Notes)
- 米国貯蓄債 (U.S. Savings Bonds)
トレジャリービル (Treasury Bills)
トレジャリービルは、アメリカ政府が発行する最も短期の債券で、償還期間が1年以内です。
これらの債券は、発行時には額面価格よりも安い価格で売られ、満期時には額面価格で返済されます。
トレジャリーノート (Treasury Notes)
トレジャリーノートは、償還期間が2年から10年の米国政府債券です。
これらの債券は半年ごとに固定の利息を支払い、満期時には額面価格で返済されます。
トレジャリービルと同様に、トレジャリーノートもリスクは非常に低いとされています。
期間が長いため、金利変動の影響を受けやすいですが、長期的な固定収入を得ることができます。
トレジャリーボンド (Treasury Bonds)
トレジャリーボンドは、償還期間が30年の米国政府債券です。
トレジャリーノートと同様に、トレジャリーボンドも半年ごとに固定利息を支払い、満期時には額面価格で返済されます。
インフレ調整証券 (TIPS)
インフレ調整証券(Treasury Inflation-Protected Securities:TIPS)は、米国政府が発行する特殊なタイプの債券で、これらの債券の額面価格は消費者物価指数(CPI)に連動して調整されます。
インフレ時には、TIPSの額面価格は増加し、利息支払いも増えます。
インフレリスク対策をしたい投資家にインフレ調整証券 (TIPS)はおすすめです。
フローティングレートノート (Floating Rate Notes)
フローティングレートノート(FRN)は、利息率が定期的に再設定される米国政府債券です。
利息率は利息支払いが発生するたびに、その時点の短期金利(通常は3か月ごとのトレジャリービルの金利)に基づいて決定します。
フローティングレートノート (Floating Rate Notes)は、金利の上昇期に最適な投資です。
米国債券を買ってはいけないと言われる理由
米国債券を買ってはいけないと言われる理由は以下の通りです。
- 低利回り
- 金利リスクがある
- 通貨リスクがある
- インフレリスクがある
それぞれについて解説します。
買ってはいけない理由①低利回り
米国債券は安全性が高いとされる一方で、そのリターン(利回り)は比較的低いです。
特に連邦準備制度理事会(FED)が金利をほぼゼロに設定しているような時期には、債券の利回りは非常に低くなります。
そのため、より高いリターンを追求したいと考えるなら、他の投資を選びましょう。
買ってはいけない理由②金利リスクがある
債券の価格は金利と反対に動くという法則があります。
つまり、金利が上昇すると債券の価格は下落します。
このため、金利が上昇傾向にあるときに債券を購入すると、損失が出る可能性があります。
金利リスクを理解して債券を購入するようにしてください。
買ってはいけない理由③通貨リスクがある
米国債券はドル建てで発行されています。
したがって、アメリカに住んでいない投資家はドルの価値の変動によるリスクがあります。
つまり、日本人の場合は円高になると損失が出る可能性が高くなるということです。
買ってはいけない理由④インフレリスクがある
長期的に見れば、インフレは債券投資のリターンを少なくします。
特に、インフレが予想以上に高まると、固定利息の債券の価値が下がってしまいます。
インフレが上昇すると予想される場合は、インフレに連動する不動産や株式への投資を検討した方がメリットが大きいでしょう。
米国債券のメリット
米国債券のメリットは以下の通りです。
- 安全性が高い
- 流動性が高い
- 安定して利息を受け取れる
- ポートフォリオが多様化する
それぞれについて解説します。
安全性が高い
米国債券は安全性が非常に高いです。
これは、米国債券の信用力がアメリカ政府の信用力と同等であるためです。
そのため、投資家が米国債券の利息を受け取流ことができないリスク、債券の額面を満期時に回収することができないリスクは、アメリカ政府がデフォルト(債務不履行)するリスクと等しく非常に低いと言えます。
流動性が高い
米国債券は世界で最も大きな金融市場の一つであり、流動性が非常に高いです。
流動性が高いということは、米国債券が常に大量に取引されており、売却したいと思ったときにすぐに買い手を見つけることができるということです。
すぐに現金が欲しいときや、ポートフォリオの調整をしたいときなどにも、すぐに現金化できるというのはメリットだと言えるでしょう。
安定して利息を受け取れる
米国債券は安定して利息を受け取れるというメリットがあります。
利息は固定されているため、株式の配当のように変動するリスクがありません。
FIREをしたいと考えている人には、安定して利息を受け取ることができる債券投資も視野に入れるべきでしょう。
ポートフォリオが多様化する
投資ポートフォリオを多様化するために米国債券が買われることがあります。
これは、債券は株式とは異なるパターンで価格が変動するため、株式主導のポートフォリオのリスクを軽減することができるためです。
また、米国債券は、経済の下降局面や市場の混乱時には安全な資産と見なされるため、市場の波乱時にポートフォリオを安定させる役割を果たします。
米国債券を買うおすすめのタイミング
米国債券を買うおすすめのタイミングは以下の通りです。
- 金利が下がると予想されるとき
- 経済の下降局面や金融市場が混乱しているとき
- 長期的に安定した収入が必要なとき
- ポートフォリオの多様化が必要なとき
それぞれについて解説します。
経済の下降局面や金融市場が混乱しているとき
債券の価格は金利と反対に動くため、金利が下がると予想されるときは債券を買うのがおすすめです。
金利が下がると、新しく発行される債券の利回りは低くなりますが、以前に購入した高利回りの債券の価格は上昇します。
そのため、金利の下落を予測できる場合には、その前に米国債券を購入しましょう。
経済の下降局面や金融市場が混乱しているとき
経済の下降局面や金融市場が混乱しているときには、投資家は安全な資産へ投資をする傾向があります。
このようなときに、米国債券は最も安全な資産です。
そのため、経済の下降局面や金融市場が混乱しているときには、米国債券を購入するのがおすすめです。
長期的に安定した収入が必要なとき
米国債券は定期的に利息が支払われます。
そのため、長期的に安定した収入が必要なときには、米国債券を購入するのがおすすめです。
特に定年退職するときやFIREするときに債券を買うといいでしょう。
ポートフォリオの多様化が必要なとき
ポートフォリオの多様化が必要なときにも、米国債券の購入がおすすめです。
例えば、株式の価格が下落した場合でも、米国債券を購入しておくことで、ポートフォリオ全体の価値が大幅に下落することを防ぐことができます。
米国債券は、株式とは異なるパターンで価格が変動するため、株式メインのポートフォリオに米国債券を加えることで投資リスクを減らすことができます。
米国債券のおすすめの買い方
米国債券の購入方法はいくつかありますが、最も一般的な買い方は、金融仲介機関を通じての購入です。
多くの銀行やブローカーは、個別の米国債券を直接購入するサービスを提供しています。
銀行やブローカーから債券を購入することで、債券の期間、利回りなどを自由に選ぶことができます。
ただし、個別の債券を購入して利益を出すためには、知識が必要です。
そのため、債券投資初心者には、債券ETF(上場投資信託)または債券投資信託を購入することがおすすめです。
債券ETFや債券投資信託は、普通の株式と同じように取引所で買い売りすることができます。
米国債券を買う時におすすめの証券口座
米国債券を買う時におすすめの証券口座は以下の通りです。
マネックス証券 | 無料クレカでの積み立て還元率No.1
マネックス証券は主要ネット証券(auカブコム証券、SBI証券、松井証券、楽天証券、マネックス証券)の中で最大のポイント還元率 1.1%となっています。
ワン株(単元未満株)の買付手数料と投資信託の購入時申込手数料は0円で手数料がかからないのも嬉しいポイントです。インデックス投資+高配当株に挑戦したいという人にもマネックス証券はおすすめです。
また、IPO(新規公開株)の取り扱い銘柄数が多いうえ、完全平等抽選なので投資資金の少ない人でも当選が期待できるので、IPO投資に挑戦したい人にもおすすめです。
今なら、口座開設で2000円がもらえるキャンペーンも実施中です。
SBI証券 | 手数料が格安
SBI証券は業界トップのシェア率を誇っており、手数料が格安という特徴があります。
手数料には「スタンダードプラン」「アクティブプラン」の2つのプランがあり、スタンダードプランの手数料は55円〜、アクティブプランは1日の約定代金が100万円までなら無料です。プランは途中で変更が可能なので、投資スタイルに合わせて好きなプランを選択しましょう。
なお、以下の条件を満たすと国内株式売買手数料が無料(ゼロ革命)となります。
- インターネットコースまたは、インターネットコース(プランC)のお客さま
- 電子交付サービス申込済で当社所定の電子交付設定を行っているお客さま
また、外国株式を全部で9カ国扱っており、証券会社の中では最多となっています。
- 米国株式
- 中国株式
- 韓国株式
- ベトナム株式
- ロシア株式
- インドネシア株式
- シンガポール株式
- タイ株式
- マレーシア株式
三井住友カードでの積立投資をおこなうと、積立額の0.5%~5.0%相当のVポイントがたまります。クレジットカード積立投資の上限は5万円となるので、三井住友カードを利用すると250円〜2500円お得になります。
また、SBI証券は1株から取引できるS株(単元未満株)も取り扱っているので、高配当株の投資にもおすすめです。
auカブコム証券 | 携帯キャリアがauならおすすめ
auカブコム証券はau経済圏と相性が良いネット証券です。
auカブコム証券では、条件を満たすとPontaポイントが貯まります。
また、「au IDの登録で、現物および信用取引の手数料が1%割引」「auカブコム証券でKDDIの株式を100株以上保有すると、現物および信用取引の手数料が最大15%割引」などauユーザーやKDDI株主向けの特典もあります。
プチ株と呼ばれる1株から投資できるサービスもあるので、高配当株をはじめとした個別株に挑戦してみたい人にもおすすめです。
\ au経済圏の人におすすめ /
米国債券に関するよくある質問
- 米国債券を買うおすすめのタイミングはいつ?
-
米国債券を買うおすすめのタイミングは以下の通りです。
- 金利が下がると予想されるとき
- 経済の下降局面や金融市場が混乱しているとき
- 長期的に安定した収入が必要なとき
- ポートフォリオの多様化が必要なとき
- 米国債券は円安でも買っていい?
-
円安の時は、米国債券を購入する際のコストが増えます。
しかし、円安が続くなら、米国債券を購入しておいたほうがメリットが大きいです。
そのため、外国為替リスクをどうしても避けたいなら、ヘッジ付きの国際債券ファンドに投資することがおすすめです。
- 米国債券は元本割れする可能性がある?
-
投資家が債券を満期まで保有せずに売却する場合、元本割れする可能性があります。
しかし、米国政府がデフォルト(債務不履行)を起こさない限りは満額返済されるので、基本的には元本割れしないと言えます。
米国債券は買ってはいけない理由まとめ
本記事では、米国債券の基礎知識から、米国債券を買ってはいけないと言われる理由、米国債券のメリット、米国債券を買うおすすめのタイミング、米国債券のおすすめの買い方について解説しました。
米国債券の購入は、定年退職する人やFIREする人におすすめです。
より高いリターンを追求したいと考えるなら、他の投資を選びましょう。