「iDeCoはデメリットしかないからやらないほうがいいって本当?」「iDeCoはやめとけと言われたけど、実際どうなの?」と、iDeCoに対して疑問を持っている方は多いのではないでしょうか。
今回は、iDeCoのデメリットだけでなくメリットや節税効果などについて解説します。
iDeCoを利用すべきか迷っている方、将来受け取れる資産を増やしたいと思っている方は、ぜひ参考にしてください。
iDeCoとは「自分で運用する年金制度」のこと
iDeCoは「個人型確定拠出年金」として知られ、加入資格を満たすと月5,000円の掛け金から自分で運用できる年金制度です。
iDeCoが個人型の確定拠出年金であるのに対し、企業が加入できる企業型の確定拠出年金も存在します。
個人型(iDeCo) | 企業型 | |
掛け金 | 個人負担 | 企業負担 |
金融機関 | 個人が選べる | 企業が選ぶ |
加入方法 | 個人が自由に加入できる | 企業が導入している場合のみ加入できる |
積立方法 | 個人口座から積立 | 企業が積立を行う |
商品 | 金融機関の商品から選べる | 企業が提供する商品から選べる |
投資信託や保険などの金融商品を選んで運用し、公的年金にプラスする制度として利用できます。なお、積み立てた年金の受け取りは原則として60歳から可能であり、年金または一時金として受け取れます。
iDeCoでは複数の商品を選ぶことができ、期間中は自由に商品を組み替え可能です。
iDeCoはデメリットしかない?主なデメリット5選を徹底解説
iDeCoの主なデメリットとして、以下の5点が挙げられます。
- 途中解約できない(保険料免除・障害状態・死亡の場合を除く)
- 60歳になるまで引き出せない
- 掛け金が少ないと手数料の割合が大きくなる
- 投資信託の価格変動リスクがある
- 国民年金を納めていなければ加入できない
それぞれのデメリットについて確認しましょう。
デメリットしかないと言われる理由①途中解約できない(保険料免除・障害状態・死亡の場合を除く)
iDeCoでは、原則として加入中の資産は引き出せず、積立途中での解約もできません。
掛金の支払いが困難な場合は減額や一時停止が可能ですが、積立を続ける場合、最低でも月5000円の支払いが必要です。
ただし、以下のような状況になったとき、例外として途中解約できる場合があります。
途中解約できる条件
- 加入者が国民年金保険料の免除対象になった
- 加入者が一定の障害状態になった
- 加入者が死亡した
上記に該当しない限り、iDeCoの途中解約は難しいでしょう。
デメリットしかないと言われる理由②60歳になるまで引き出せない
iDeCoで積み立てた資産は、通常は60歳になるまで引き出しができません。原則として60歳から引き出し可能となるため、早期に受け取りたい場合は別の運用方法を検討する必要があるでしょう。
また、60歳で引き出すためには、最低でも10年以上の加入期間が必要です。加入期間が10年未満の場合、引き出せる年齢がさらに遅れるため、あらかじめ確認しておきましょう。
この制約は、急な現金需要が生じた場合に、必要な資金を確保できなくなるリスクがあります。そのため、慎重な資金計画欠かせません。
デメリットしかないと言われる理由③掛け金が少ないと手数料の割合が大きくなる
iDeCoに加入すると、以下の機関で発生する手数料を加入者負担で支払う必要があります。
iDeCoでかかる手数料
- 国民年金基金連合会
- 運営管理機関
- 事務委託先金融機関
加入時に2,829円の加入手数料が、加入期間中は最低でも月171円の手数料が必要です。さらに、金融機関に支払う口座管理手数料が発生する場合があります。
このため、掛け金が少ない場合は手数料の割合がどうしても大きくなり、運用益を上回ってしまう可能性があるでしょう。このような状況では手数料負けが生じ、資産形成に影響を与えることが考えられます。
デメリットしかないと言われる理由④投資信託の価格変動リスクがある
iDeCoで運用できる商品は2種類あり、そのうち1種類の「元本変動型の商品」は、投資信託が保有する株式や債券の価格が変動するリスクが存在します。
- 元本確保型:価格変動の影響を受けない
- 元本変動型:価格変動の影響を受ける
株式や債券の価格変動は、世界情勢や経済動向、政治動向などに左右されます。リスクが大きいためリターンも大きくなりますが、価格が下落する可能性もあるため注意が必要です。
投資信託には元本や利回りの保証がないため、価格変動によって損失が発生し、元本割れする可能性があることを押さえておきましょう。
また、定期預金などの元本確保型商品は、基本的に元本割れのリスクはないものの、加入時や運用期間中に発生する手数料の支払いが必要です。そのため、前項でお伝えしたように掛け金が少ない場合は手数料の割合が大きくなり、元本割れの可能性が生じます。
デメリットしかないと言われる理由⑤国民年金を納めていなければ加入できない
iDeCoは公的年金に上乗せする制度のため、国民年金保険料を納付している必要があります。
国民年金保険料を滞納しているほか、免除を受けている場合もiDeCoは利用できないため注意しましょう。
iDeCoの利用で得られる3つのメリットとは?
デメリットしかないと言われるiDeCoですが、以下のようなメリットも存在します。
- 運用で得た利益は非課税になる
- 掛金は全額所得控除として計上できる
- 受給方法を3パターンから選べる
それぞれのメリットについて解説します。
メリット①運用で得た利益は非課税になる
iDeCoでは、運用で得た利益が非課税になります。定期預金や投資信託などの運用商品についても、利息や売却益、分配金などは非課税です。
もし資産を銀行の定期預金に預けた場合、利息に対して20.315%の税金がかかるため、運用益に税金がかからないiDeCoの特徴は大きなメリットといえます。
メリット②掛金は全額所得控除として計上できる
iDeCoでは、掛け金の全額を所得控除として計上できる「小規模企業共済等掛金控除」という所得控除を受けられます。
所得控除が増えると所得に対して支払う税額が減少するため、税負担が軽減されます。さらに、所得税だけでなく住民税も軽減されるため、総合的な税負担の軽減が期待できるでしょう。
メリット③受給方法を3パターンから選べる
iDeCoでは、受給する際にも税金の優遇を受けられます。60歳以降に受給する方法としては、以下の3つのパターンを選択可能です。
受給方法
- まとめて受給
- 年金形式で一定期間の受給
- 一時金として一部の金額を受給、残りは年金形式で受給
まとめて受給する場合、退職所得控除という税金優遇措置を活用できます。退職金と同様、退職所得控除額を差し引いた額の半分である「退職金額」に対して税金がかかりますが、一時金が控除額以下であれば、税金の支払いは必要ありません。
また、年金形式で一定期間受給する場合、公的年金等控除後の所得に対して税金がかかるため、まとめて受給するよりも手取り額が増えやすいことが特徴です。
そして、一時金として一部の金額を受給し、残りを年金形式で受給する場合、それぞれの受給方法に応じて課税されます。一時金として受け取る金額分は「まとめて受給する場合と同様」、年金形式で受給する金額分は「年金形式で一定期間受給場合と同様」の課税方法です。
iDeCoで月1万円の積立は意味ない?20年後の節税効果は?
「iDeCoで月1万円の積立は意味ないからやらないほうがいい」といった情報を耳にし、やるべきか迷っている方もいるのではないでしょうか。
楽天証券が提供するiDeCoの節税シュミレーションによると、年収500万円の会社員が利率3%で毎月1万円の積立をした場合、20年後の投資効果は以下の結果になりました。
- 積立元金:2,400,000円
- 運用益:883,020円
- 合計金額:3,283,020円
- 節税額:480,000円(年間あたり24,000円)
結果はあくまでシュミレーションであり変動リスクはあるものの、毎月1万円を積立し続けると+883,020円の運用益となり、さらに480,000円の節税効果があります。したがって、iDeCoで毎月1万円の積立による効果は大きいといえるでしょう。
iDeCoを始める時におすすめの証券会社
iDeCoを始める時におすすめの証券会社を紹介します。
SBI証券
SBI証券は、iDeCo口座開設数1位の証券会社です。
セレクトプランでは、「eMAXIS Slim」シリーズを含むインデックスファンドを17本に投資することができます。
マネックス証券
マネックス証券は、オリコン顧客満足度®ランキング「iDeCo証券会社」部門で4年連続総合第1位を獲得しています。
「NASDAQ100指数」に連動するiDeCo商品を買うことができるのはマネックス証券だけなので、「米国ナスダック100指数」に連動する商品を買いたいならマネックス証券で口座開設を行いましょう。
松井証券
松井証券は、老舗のネット証券です。
「eMAXIS Slim」と「楽天バンガード」シリーズの取り扱いがあるので、SBI証券と楽天証券のいいところ取りをした投資を行いたい人におすすめです。
iDeCoに関してよくある質問
ここでは、iDeCoに関するよくある質問をまとめました。
利用すべきか迷っている方は、ぜひ参考にしてください。
iDeCoはやらないと損なの?
必ずしも「やらないと損」とは言い切れませんが、以下に当てはまる方はiDeCoを利用するメリットが大きいといえます。
- 毎月安定した収入がある人
- 年金だけでは老後資金に不安がある人
- 貯蓄が苦手な人
ただし、途中解約ができない・60歳になるまで引き出せないなどの制約があるため、十分に検討した上で利用しましょう。
公務員はiDeCoをやらないほうがいいって本当?
結論、公務員であっても老後資金に不安がある場合、iDeCoに加入するメリットはあるといえます。
昨今、退職金の減額や年金制度の改定などにより「公務員だから老後は安心」とも言い切れないのが現状です。
自分で計画的に老後資金を作りたいと思っている公務員の方は、iDeCoを利用するのも方法の一つです。
iDeCoは厚生年金が減るって本当?
結論、iDeCoに加入したからといって厚生年金が減ることはありません。
企業の確定拠出年金では、給与の一部を掛け金として拠出するかを選べる「選択制DC」に加入できます。選択型DCで掛け金の拠出を希望した場合、給与額が減るため厚生年金の受給額も減少してしまいます。
しかし、iDeCoは企業から受け取った給与から個人が掛け金を拠出するため、厚生年金の受給額には影響しません。
iDeCoで大損しないためのコツはある?
iDeCoは投資商品であり、必ずしも資産が増える・減るといった断定はできないため、下限価格があることを理解した上で取り組みましょう。
ただし、収入が不安定の人や貯金が少なく掛け金の拠出が難しい人、運用可能な年数が少ない人などはiDeCoのメリットを享受しにくい場合があります。
一度加入すると解約が難しいため、慎重に利用すべきかを考えることが大切です。
「確定拠出年金にだまされるな」と知人に言われたが、やめておくべき?
確定拠出年金とは、個人が毎月一定額を拠出し、運用する年金制度です。
老後の資産形成を考える上で有効な手段の一つではあるものの、将来受け取れる金額は拠出額と運用成績によって変動します。また、原則として60歳まで引き出せない、手数料が自己負担であるなどのデメリットも存在するため、全ての人にとって有益であるとは言い切れません。
利用する際はサービスの内容を十分に確認し、自己責任で運用することが求められます。
iDeCoはやらないほうがいい・デメリットしかない理由まとめ
今回は、デメリットしかないと言われるiDeCoについて、メリット・デメリットや月1万円を積み立て続けた場合の投資効果などを解説しました。
iDeCoは老後資金を形成できるメリットがある反面、契約に関する制約が多く存在するため、よく検討した上で加入する必要があります。
記事の内容を参考に、自身の目的に合った資産運用のやり方を考えてみましょう。