「公務員がiDeCoを利用するメリットは少ないと聞いたけど、実際はどうなの?」「公務員でもiDeCoは必要なの?」といった疑問を持っている方は多いのではないでしょうか。
効率的に資産を形成するには、iDeCoのメリットやデメリットをしっかりと理解し、正しい判断をすることが欠かせません。
今回は「公務員はiDeCoをやらないほうがいいのでは?」という疑問に対し、公務員がiDeCoを始めるメリットとデメリットを解説します。
自分がiDeCoを利用すべきか知りたい、公務員がiDeCoを運用するメリットを知りたいという方は、ぜひ参考にしてください。
公務員はiDeCoをやらないほうがいいの?損するって本当?
結論からいうと、公務員であっても、老後資金の蓄えを目的としたiDeCoへの加入はおすすめです。
以前は公務員の退職金や年金が充実していたため、老後資金に対する不安は少ないと言われていました。しかし、近年では年金制度の見直しや退職金の減額が進み、「公務員であれば老後は安泰」とは言い難い状況です。
そのため、自ら資産形成を行い、老後資金を作ることが大切といえます。iDeCoなどの制度は、税制上の優遇を受けながら、老後資金を蓄える手段として有効です。
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、積立額が所得控除の対象となるため、税制優遇の恩恵を受けながら資産を積み立てられます。これにより、節税におけるメリットを享受しつつ、長期的な資産形成が可能となるでしょう。
公務員はiDeCoをやらないほうがいい?加入する2つのデメリット
「公務員はiDeCoをやらないほうがいい」と言われる背景には、iDeCoにおける以下2つのデメリットが挙げられます。
- 掛金の上限が低い
- 原則として60歳まで資産を引き出せない
それぞれ解説します。
掛金の上限が低い
公務員がiDeCoを運用するデメリットの1つに、掛金の上限が低いことがあります。公務員におけるiDeCoの掛金上限は月額12,000円となっており、他の職種の掛け金上限に比べて低いです。
他の職種の場合、自営業者であれば月額68,000円、企業年金がない会社員や専業主婦であれば23,000円まで拠出可能です。
このため、公務員の方が老後資金を積み立てたいと考えている場合、iDeCoだけでは不十分に感じられるかもしれません。
とはいえ、資産を普通預金口座に貯蓄しておくよりも、iDeCoを活用したほうが運用益を増やせる可能性があります。そのため、最終的に使える老後資金を増やしやすいでしょう。
原則として60歳まで資産を引き出せない
iDeCoのもう1つのデメリットとして、原則として60歳まで資産を引き出せないことがあります。これは、公務員に限った話ではなく、iDeCoを利用する全ての方に共通するデメリットです。
この制度により、急な出費が必要になったとしても、iDeCoの資金は引き出しできないため注意が必要です。例えば、子どもの教育資金や住宅購入の頭金が必要になった場合、iDeCo以外の資産から支払わなければなりません。
例外として、加入者が一定の障害状態になった場合や死亡した場合には、60歳前でも受給が認められます。それ以外の理由では出金できないため、iDeCoに加入する際は生活費や緊急時のための資金を別途確保し、余裕資金で掛金を設定することがポイントです。
公務員はiDeCoをやらないほうがいい?加入する3つのメリット
反対に、iDeCoに加入するメリットとして以下の3つがあります。
- 運用益が非課税になる
- 税負担の軽減につながる
- 掛金を受け取る際に控除が適用される
それぞれ見ていきましょう。
運用益が非課税になる
iDeCoにおけるメリットの1つ目に、運用益が非課税になることがあります。
金融商品の運用で得た利益には、通常であれば20.315%の税金がかかりますが、iDeCoでの運用益は全額非課税です。
例えば、通常の投資で300万円の利益を得た場合、約60万円(300万円×税率20.315%)の税金が引かれます。iDeCoであれば、300万円の運用益をそのまま受け取れる仕組みです。
この非課税制度により、iDeCoで得た利益を再投資すれば複利効果で資産がさらに増えやすくなるため、長期的な運用で大きな差が生まれます。
税負担の軽減につながる
iDeCoの2つ目のメリットは、税負担の軽減につながることです。
iDeCoでは、掛金の全額が所得控除の対象となります。所得控除とは、課税対象となる所得から一定の金額を差し引く仕組みで、これにより所得税や住民税の税金の負担を減らせます。
iDeCoの掛金について控除を受けるには、毎年11〜12月上旬の期間に年末調整が必要です。もし年末調整に間に合わなかった場合は、翌年の2月16日〜3月15日の間に確定申告をすることで、控除が適用されます。
掛金の全額が所得控除になるiDeCoの制度は、長期的に見ると大きな節税効果を得られるため、老後の資産形成をより効率的に進められるでしょう。
掛金を受け取る際に控除が適用される
iDeCoの3つ目のメリットとして、積み立てた資産を受け取る際にも税制上の優遇措置が適用されることが挙げられます。
掛金の受け取り方法は、一括で受け取る「一時金」と、定期的に受け取る「年金」の2種類です。
それぞれ使える控除が異なり、一時金の場合は「退職所得控除」が適用され、加入期間が長いほど控除額が大きくなります。一方、年金として受け取る場合は「公的年金等控除」が適用され、60歳未満なら年間60万円、65歳以上なら110万円までが非課税となる仕組みです。
さらに、一時金と年金を併用して掛金を受け取ることもできるため、節税効果を最大限に活かせる受け取り方を選ぶのがポイントです。
2024年12月からiDeCoにおける公務員の掛け金が2万円まで引き上げ
2024年12月から、公務員のiDeCo掛金の上限が月額12,000円から20,000円に引き上げられる予定です。この変更により、公務員の方はより多くの資産を、長期的に積み立てやすくなります。
月あたりの掛金上限が8,000円増えることは、あまり大きな変化に感じられないかもしれません。しかし、長期間掛金を拠出していくと、最終的に受け取れる資産額が大きくなりやすいです。
安定した収入のある公務員の方にとって、iDeCoの制度改正は老後の資産形成に大いに役立つでしょう。
iDeCoを始める時におすすめの証券会社
iDeCoを始める時におすすめの証券会社を紹介します。
SBI証券
SBI証券は、iDeCo口座開設数1位の証券会社です。
セレクトプランでは、「eMAXIS Slim」シリーズを含むインデックスファンドを17本に投資することができます。
マネックス証券
マネックス証券は、オリコン顧客満足度®ランキング「iDeCo証券会社」部門で4年連続総合第1位を獲得しています。
「NASDAQ100指数」に連動するiDeCo商品を買うことができるのはマネックス証券だけなので、「米国ナスダック100指数」に連動する商品を買いたいならマネックス証券で口座開設を行いましょう。
松井証券
松井証券は、老舗のネット証券です。
「eMAXIS Slim」と「楽天バンガード」シリーズの取り扱いがあるので、SBI証券と楽天証券のいいところ取りをした投資を行いたい人におすすめです。
公務員のiDeCo運用に関してよくある質問
ここでは、公務員のiDeCo運用についてよくある質問をまとめました。
公務員におけるiDeCoの出口戦略を教えてほしい。
iDeCoで出口戦略を考える際は、自身が受け取れる公的年金の額や、年金の受け取り開始までに貯蓄できる金額を考慮するのがポイントです。iDeCoは60歳から受け取りを開始でき、75歳までの好きなタイミングで受け取れます。
なお、受け取り方法は以下の3種類から選択可能です。
- 一時金として受け取る
- 年金として受け取る
- 一部を一時金、残りを年金として受け取る
受け取り方法については、税金を考慮した手取り額や、運用商品のリスク、ライフステージなど、さまざまな要素から自分に合った選びましょう。
50代の公務員が今からiDeCoを始めるのは遅い?
結論からいうと、50代からiDeCoに加入しても遅くはありません。
以前は、iDeCoは60歳までしか加入できませんでした。最初の掛金を拠出してから10年以上経過していないと掛金を受け取れないため、50代から加入すると60歳になってすぐに資産を受け取れない空白期間が生じていました。
しかし、2022年5月から65歳までの加入が可能になったため、50代からの加入でも余計な空白期間を発生させずに、資産運用を続けながら税控除のメリットを受けられます。
公務員がiDeCoを運用する際のおすすめ金融機関を教えてほしい。
iDeCoを運用する金融機関を選ぶ際は、運用商品の豊富さや管理手数料の安さ、提供するサービスの充実度などを見ると安心です。
利用者が多くサービスが充実している金融機関として、以下がおすすめです。
- マネックス証券
- SBI証券
- 松井証券
- 楽天証券
- 野村證券
iDeCoで公務員の上限引き上げが適用されるのはいつから?
iDeCoで公務員の上限が引き上げられるのは、2024年12月です。
この制度改正により、確定給付企業年金などの他制度に加入しながらiDeCoを運用する場合の拠出限度額が12,000円から20,000円に引き上げられます。
公務員でiDeCoを始めたいので、始め方を教えてほしい。
公務員の方がiDeCoを始める場合、基本的なステップは以下の通りです。
- 掛金額を決める(現在は月12,000円まで。2024年12月からは20,000円。)
- 運用する商品を決める
- 口座を開設する金融機関を決める
- 口座開設の申し込みをする
- 審査に通過すると初回掛金が引き落とされる
金融機関によって取り扱っている商品が異なるため、自分が運用したい商品があるかどうかを確認した上で、口座開設に進みましょう。また、初回掛金の引き落としは、どの金融機関でも毎月26日に行われます。
公務員はiDeCoをやらないほうがいい?まとめ
今回は「公務員はiDeCoをやらないほうがいいの?」といった疑問に対し、公務員がiDeCoを運用するメリットとデメリットについて解説しました。
2024年12月に行われる制度改正により、公務員がiDeCoに拠出できる掛金上限が20,000円まで引き上げられます。月々の拠出額が増える分、将来的に受け取れる金額が大きくなるため、老後資金を増やしたい方にとって大きなメリットといえます。
記事の内容を参考にしながら、効果的に老後資金を形成できるよう、iDeCoの制度を活用してはいかがでしょうか。